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こんなとき労務シリーズ 「Stop ハラスメント」

ハラスメントとは

ハラスメントとは、一般的に「嫌がらせ」や「いじめ」というように翻訳されていますが、実態はそのような軽い意味合いではなく、心身に対する「脅かし」や「暴力」「犯罪」と言えそうです。
以下、パワハラとセクハラ、マタハラについて説明します。

※上図 ハラスメント職場の特徴 厚労省R2実態調査より

ハラスメントの定義(厚労省)

パワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、からまでの3つの要素を全て満たすものをいいます。
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
ただし、労働者の意を汲まない一方的な通告はハラスメントとなる可能性があります。

セクシャルハラスメントとは、①「職場」において行われる②「労働者」の意に反する③「性的な言動」により、労働者が労働条件について④不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
セクシュアルハラスメントの行為者とは、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者、学校における生徒なども行為者になり得ます。
男性も女性も、行為者にも被害者にもなり得ます。
また、異性に対するものだけでなく、同性に対する性的な言動もセクシュアルハラスメントになります。

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、「職場」において上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されることをいいます。

妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱い

妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為は「ハラスメント」ではなく「不利益取扱い」となります。
例えば、妊娠したことを伝えたら契約が更新されなかった、育児休業を取得したら降格させられた、等が不利益取扱いに該当し、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法違反となります。
※これらの制度等の利用を希望する労働者に対して、業務上の必要性により変更の依頼や相談をすることは、強要しない場合に限りハラスメントに該当しません。
※妊婦本人はこれまで通り勤務を続けたいという意欲がある場合であっても、客観的に見て妊婦の体調が悪い場合に、業務量の削減や業務内容の変更等を打診することは、業務上の必要性に基づく言動となり、ハラスメントには該当しません。
※本人の属性や人格攻撃 不快感、不利益を与えること

言葉の定義

「職場」とは

労働者が通常働いているところはもちろんのこと、出張先や実質的に職務の延長と考えられるような宴会なども職場に該当します。

「労働者」とは

正社員だけではなく、契約社員、パートタイム労働者など、契約期間や労働時間にかかわらず、事業主が雇用するすべての労働者です。
また、派遣労働者については、派遣労働者のみならず、派遣先労働者のみならず、派遣先事業主も、自ら雇用する労働者と同様に取り扱う必要があります。

やってはいけないこと

やってはいけないことは、他人が嫌がる、または嫌がりそうな言動です。
自分は優秀であるから組織の中で特別な存在で特権をもち、多少のことは許されるという傲慢性や短慮、また他人に対する接し方の限度が分からない、などを改めなければなりません。
往々にして課長や部長、取締役などと職位が上がるとついそのような思考の落とし穴にはまる場合があります。
他に男性としての優越意識、体力、学歴、年齢、実績・成果、勤続年数、話術、性欲などから理由もなく、ブレーキが効かない行動をとってしますことは結局のところ自分のリスクです。

そこで改善策として、弊社のメンタルヘルス管理のメソッドの理念である「リスペクト心になくても形から」や、ですますハイ会話、うなずき表現、顔上げあいさつなどをお勧めします。本心からリスペクトを持たなくても形だけでもよく、実践して行為スキーマ(癖)になればしめたものです。コミュニケーションや人間関係に気を使うことがなくなります。

 

参考 ハラスメント防止ポスター

 

参考 ハラスメント防止通知合意書

ハラスメント 新基準 労働時間・イベント内容

ハラスメントの認定と業務上外の認定は同一ではありませんが、業務起因性と業務遂行性がある場合は業務上として労災保険の適用を受けることがあります。
精神障害の労災認定要件を以下に述べます。

※資料 厚労省「精神障害の労災認定」一部

労災認定はR3.9月に見直された結果、時間外労働で発症前2~6か月間の月平均60時間以上80時間未満の不規則勤務が最も多い

 

弊社の労務顧問契約では「現代の目安箱」なども・・・

影響

会社にとって決していいことでなく悪いこと 非常に迷惑な行為 損害を被りかねない行為
被害者本人や周辺の同僚、場合によってはお客様や関係企業の人たちに与える悪影響は非常に大きい 心身病 PTSD(トラウマ) 場合によっては自殺念慮(死にたいと思い、自殺することについて思い巡らす事)

ハラスメントは加害者も大きな損をする

加害者リスク 刑事罰・民事訴訟※・社内制裁・新聞やWebに氏名も掲載され長い間消えない・家族崩壊など大きい
※セクハラ裁判例520万円R4.9.1 俳優K氏損害賠償・仕事激減

原因

自分ができる(と思う)ことが他人にできない
自分の思い通りにならない(幼児気質・過去とは時代が違う)
アンガーマネジメント 6秒ルール 一旦場を外す
指導の一環、「このくらいいっか」、「このくらいやっても当然」、「指導だから」

しかし、心の緩み、油断、簡単に考えすぎ
周辺の人が非難しない、止めない 場合によっては承認(迎合)している

事例

裁判例多くあり 人生を棒に振る例多い
大企業営業次長が土下座 一般社員に降格 損害賠償 家族離散

背景・風土・雰囲気

名前呼び捨て、大声会話、威勢のいい体育会系職場風土
上司先輩などの絶対権限の勘違い 特別の立場と誤解している

職場の同僚は家族や親戚、仲のいい友達でもない
相手は物でなく意思をもった人間である 礼儀やリスペクト(尊敬)が必要
まして暴力(言葉・身体)は犯罪

対策

おまじない(行為スキーマ・癖)の励行

「リスペクト 心になくても形から」=よいしょ(持ち上げること)
ただし、指導は厳しさはつきもの・遠慮することではない
誰にも ですますハイ会話 うなづき表現 顔上げあいさつ 一声掛け運動
周辺の人も被害が大きく長引かないために会社に申告することが望ましい
周りの人の影響は大きい
「緊急対策」 異動や加害者の休職命令など

【参考】パワハラの法的責任等
・パワハラの法的責任 加害者本人に対しては、不法行為による損害賠償(民法709条)、また加害者の行為の内容により、刑法204条(傷害)、同208条(暴行)、同222条(脅迫)、同230条(名誉棄損)、同231条(侮辱)、同223条(強要)等の刑事責任、及び会社の就業規則の制裁処分を問われる場合がある。
・また会社に対しては、使用者責任(民法715条)、安全配慮義務(労働契約法5条)違反や、職場環境配慮義務(労働安全衛生法71条の2)違反による債務不履行責任(民法415条)が、また公務では国家賠償法1条の損害賠償責任を問われる場合がある。
・最も懸念されることは「ブラック企業」と吹聴され、有為な人材が入社を避けることによって、採用に手間やコストなどの弊害が発生することである。

心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました 労働時間=不規則勤務など労働時間以外の負荷も考慮することになったR3.9月

 

~「心理的負荷評価表」に「パワーハラスメント」の出来事を追加します~
厚生労働省では、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、本日5月29日付で厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知しました。
この改正は、今年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、今月取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しを行いました。
厚生労働省では、今後は、この基準に基づいて審査の迅速化を図り、業務により精神障害を発病された方に対して、一層迅速・適正な労災補償を行っていきます。


【認定基準改正のポイント】

 ■「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
・「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」を追加
「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を
「具体的出来事」に追加

評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
・「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を
「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正
・パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせなどを
評価する項目として位置づける


【添付資料】
資料1 認定基準改正の概要
資料2 心理的負荷による精神障害の認定基準の改正について
資料3 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書

 


 

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