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こんなとき労務シリーズ「労務トラブル 当事者ニーズカルテ」

労働局や労働基準監督署等、労働紛争解決制度の個別紛争解決制度の労働相談件数が、毎年増加しています。
その数は令和3年度では約124万余件と高い水準となっています。
相談内容では「いじめ・いやがらせ関連」や「自己都合退職関連」「解雇」「労働条件引き下げ」「退職勧奨」と続いています。

今回のRead meこんなとき 労務シリーズでは起こってしまったトラブルに関し、円滑な解決メソッドの一つとして当事者の「変遷する意識(ニーズ)を捉えること」に重点を置いて説明します。

労務トラブルはそのものがコストとなるうえに、当該担当者の方の重いストレスで、企業経営にリスクとなり、さらに問題解決へのポロセスは在職する他の従業員への影響も見過ごせません。
半面職場の問題点が露見し改善に向け進歩するプラスの面も否めません。

トラブルがあった際には基本的に感情的に捉えるだけでは、解決の糸口を見つけることはできません。
できるだけ円滑に解決するには、上下関係の意識をなくし、相手には誰でも存在としてのリスペクトを払い、そしてニーズを捉える、または引き出し、歩み寄ろうとすることが重要で、現在の裁判の主流である和解の理念にも通じます。

なお、解決の手法では弊社のメンタルヘルスメソッドを併せてご説明します。


【資料 労務トラブル相談件数の増加】出所 厚生労働省R4.7.1 Press Release

令和3年度までの10年間の個別労働紛争解決制度を利用した件数の推移は微増状態です。内訳としては総合労働相談(助言・指導・斡旋等を行う公的機関による解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題。性的指向・性自認に関連する労働問題も対象で、労働者、事業主どちらからの相談でも可)

和解のためのニーズを捉える

労務トラブルの解決の一つに裁判で白か黒か、勝ちか負けかの決着をつける方法がありますが、お互いの痛み分けができず、時間も費用もかかり、本質的に遺恨を残すため白黒でなくグレーグレーの解決が望める「和解」が勧められるようになりました。

和解を成立させるためには真のニーズを知ることが重要ですが、ニーズは感情などで変移することも多くあります。
そこでこのニーズや感情の遷移をできるだけ論理的に客観的に把握する方法の一つとして「労務トラブルカルテ」を活用することで分析が可能になります。

正確なニーズを捉えないと理解性のある解決に結びつきません。
謝ってほしいことがニーズであるのに賠償などの金額に力点を置いてもすれ違いとなります。
また、実は先方もどうしてほしいかを理解していない場合もありますので、根気強く、リスペクト(尊敬の念)をもち敬意を払って話し合いを継続し誠意を見せることが必要です。
「規定があるのだから」「雇ってやっているのだから」のような姿勢や態度ではまずもって同じ土俵に乗っているとは言えません。
まずは性別や経験、学歴、身分、収入などに拘らず、互いに平等であることを理解することが先決です。

早期解決の第一歩はこの辺のこだわりを払しょくすることです。

労務トラブルカルテの活用

労務トラブルカルテは、名称も構成も筆者のオリジナルです。
作成した目的としましては、労務トラブルはトラブルの始まり(原因)とプロセス(経過)と終わり(解決)があり、その時々に真意(ニーズと言い換えることができます)の変移が大小にかかわらずあります。
ある一面のニーズが感情により乱高下したり、また別の面(ニーズ)に変移することはよくあることと思います。
そのように変移する感情や欲求、真意、ニーズを医師のカルテに見立ててできるだけ客観的に捉え、トラブルを速やかにできるだけ円満に解決しようとするものがニーズカルテです。

例えば最初は金銭的な要求であったものが、実は謝罪の要求、しかも職場で全員の前で行うこと等の主張に変移することはよくあります。
解決法としましては、まずは冷静に、相手をリスペクトし、ですますハイ会話を使用し、うなづき表現で相手を受容承認することが効果的です。
いきなりリスペクトとは理解が困難と思われますので、「Readmeリスペクト心になくとも形から」をご覧くださいましたら幸いです。

当カルテを利用して戴き、早期の円滑な解決となることを願っています。

労務トラブルカルテの例

「パーソナルニーズカルテ」

仕事のレシピ (Dルール)

仕事のレシピ」はDルール(デジタルルール)といい、特許を取得した全てのルーティンをプロジェクト・タスク・TODOに分類し、情報・注意点、手順等に整理したものです。
職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成をすることができるで、従業員の研修や教育、ヒューマンエラー防止などにも効果的です。
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